【厨房機器の耐用年数は?】
外食産業や宿泊業における厨房の設備投資は、資金繰りの中でも大きな要素を占めるものです。
「人が作ったものはいつか劣化する時が来る」という認識のもと、国税庁は機器や設備などについての「耐用年数一覧」を公表しており、
これを設備買い替えの目安としている人も多いようです。
飲食店経営などをされている方々へ、厨房機器の耐用年数と買い替え時について解説します。
耐用年数とは
そもそも、国税庁に定められている機器の「耐用年数」とは具体的にどういうことを指していて、何年くらいなのでしょうか?
また、一般的に考えれば耐用年数とは「利用に耐えられる長さ」や「寿命」と捉えがちですが、
実はそうではないことにも注目です。
厨房機器の耐用年数
外食産業で使われている厨房機器としては、冷蔵庫、ガスレンジ、給湯器、大量の揚げ物を一度に行うことが出来るフライヤーなどがあげられます。
そして、飲食店で使われる場合と、宿泊施設の厨房で使われる場合では頻度や機器の大きさに違いがあり、
その耐用年数の設定も異なることに注意しましょう。
業務用厨房機器の種類 |
一般的な飲食店での耐用年数 |
宿泊施設の厨房における耐用年数 |
ガスレンジ、フライヤーなど |
8年 |
10年 |
冷蔵庫・冷凍庫(電気式) |
6年 |
冷蔵庫(氷式) |
4年 |
耐用年数は寿命ではない
国税庁の定める耐用年数とは、自然故障の目安である「寿命」を指しているわけではありません。
そういった耐久性ではなく、「税法上での価値を持続することが出来る年数」を指しています。
つまり「減価償却資産として認められる長さ」ということになり、
機器の価格をその年数で割った額が確定申告にて経費として計上されるということです。
厨房機器の買い替えタイミングは?
減価償却による節税効果を狙うためにも、耐用年数は厨房機器の買い替えタイミングの一つといえますが、
耐用年数以外にも、買い替えタイミングを決めるポイントがあります。
厨房機器の買い替えタイミングについて知っておくことは、飲食事業を続けていく上でさまざまなメリットに繋がります。
厨房機器の故障
厨房機器が故障した場合は、買い替えタイミングとなります。
しかし飲食業において、その要となる厨房機器が故障した場合、
営業を数日間ストップせざるを得なくなることもあります。
そうならないためにも、使用している厨房機器についてのリコール・部品取り寄せなどに関する
最新の情報を常に把握しておく必要があります。
自ら情報収集を行い、
買い替えの時期を予測していくのが賢明でしょう。
事業の変革・規模拡大
事業の変革や拡大は、周辺の環境の変化に伴い行うケースも少なくありません。
外食産業だけでなく多くの業界でも同じことが言えますが、
ライバルとなる店舗が周辺に出来た場合に事業内容の変革が求められることが多いです。
飲食店においては、他社には無いメニューを増やしたり業務時間帯を変更したりするなど工夫が必要となる時が、
厨房機器を最新のものへと買い替える良いタイミングになります。
生き残っていくためには、工夫を増やし効率性を上げなければなりません。
必要な時に必要な設備投資を行うことが重要なポイントといえるでしょう。
耐用年数を考慮した計画的な厨房機器の導入
飲食業を長年運営していくためには、設備投資資金の回収についても長い目で見通し、
その都度、適宜対処していくことが大切です。
厨房機器に関しては、
開店当初に一気に新品機器を揃えるのでは資金不足となりますので、
中古機器も利用したりすることで、それぞれの機器の買い替え時期をずらすことが可能となります。
そうすれば減価償却を毎年途切れることなく行えるようになるため、節税効果が高くなるでしょう。
また、飲食業では厨房機器以外にも気にしておきたい設備があります。
それは「給排水設備」であり、飲食店には欠かせないものです。
建物に設置されている排水ポンプなどを指しますが、その耐用年数は15年です。
給排水設備の取り換えはかなり大がかりな工事となり費用もかかりますので、
他の減価償却物との兼ね合いで節税に損が出ないよう取り換えのタイミングを読み、
費用も早いうちに見積もっておくことをおすすめします。
まとめ
業務用厨房機器の買い替え時期は、耐用年数が一つの目安といえます。
定期的に厨房機器が新しくなることで、結果的にお客様の満足度を上げることにも繋がります。
また、黒字経営を続けていくためには、機器の最新情報収集や給排水設備の取り換え時期把握など、
機器の耐用年数以外にも意識を向け、自分で出来る細やかなことを積み重ねていくことが大切です。